並列関係の表現にはルールがあります。
自分では同じようなものを並べているつもりでも、対等に扱うことのできないものを並列して記述しているかも?!
また、並列関係を表現する上でやってしまいがちな「〜たり〜たり」という表現についても触れています。
【チェックポイント1】次元の異なる概念が含まれていないか
【NGの例】
私と父では見るテレビも違い、好きなスポーツも違い、価値観も違う。
【OKの例】
私と父では見るテレビも違い、好きなスポーツも違い、好きな食べ物も違う。
NGの例で問題となるのは、「価値観も違う」の部分です。
「価値観」は、それまで述べている「見るテレビ」や「好きなスポーツ」を含有してしまう、大きな概念です。この「価値観」が、「見るテレビ」や「好きなスポーツ」と同列に並べられて「違う」とは述べることができないわけです。
OKの例ではそこが改善され、「見るテレビ」や「好きなスポーツ」と同等の概念と思われる「好きな食べ物」にしました。
このように、同列に並べるときには、そのうちのひとつが他に並べられている概念をも含んでしまうようなものになることのないよう、注意する必要があります。
【チェックポイント2】比べられない概念を並べていないか
【NGの例】
イギリス人もスペインもサッカーが大好きだ
【OKの例】
イギリス人もスペイン人もサッカーが大好きだ
上のNGの例では、国と人という全く異なる概念を並べてしまっています。
どちらも同じ概念に統一する必要があるので、「イギリス人もスペイン人も」と対等な概念を並べる必要があります。
よく、「私と仕事、どっちが大事なのよ!」と詰め寄る女性がいますが、これもNGの例のひとつです。「私」という個人と「仕事」という責務を対等な関係で扱おうとしているので混乱を招き、答えに窮するというわけです。
【チェックポイント3】やってしまいがちな「〜たり」の欠落
【NGの例】
放課後に国語の勉強をしたり、数学の勉強をしてから帰った。
【OKの例】
放課後に国語の勉強をしたり、数学の勉強をしたりしてから帰った。
「〜たり」は単一で使うことが出来ず、必ず「〜たり〜たり」と連続して使用することが求められる言葉です。
しかしNG例のように、「〜たり」と一回だけ使い、並列されている「数学の勉強をして」の方で「〜たり」を忘れてしまうというのはやってしまいがちな落とし穴。気をつけましょう。
並列して表記するには、それぞれが対等な概念であることが必要です。
対等とは2つの物事の重要度が同じで双方に優劣がないという意味。名詞と名詞、動詞と動詞のように品詞レベルをそろえることはもちろん、語句の概念もそろえましょう。
阿部 道浩
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