文章で主張を展開する時には、対立する意見や自分の主張にとって不利な一般論にあえて理解を示す、譲歩というテクニックが用いられることがあります。
ここでは、譲歩の使い方を紹介していきます。
譲歩は「部分対立」において用いることができる
意見の対立は、大きく分けて「全面対立」と「部分対立」に分けることができます。
全面対立とは、相手の意見と自分の意見に相容れるところがなく、意見が対立してしまうことです。どちらの案が絶対的に正しいかという議論になってしまいます。
一方、部分対立では、お互いの意見がまったく同じとは言わないけれど、なんらかの共通性があるときのことです。全面対立していると感じる主張でも実際は部分対立であり、譲歩ができることも多いです。
- 全面対立 → 譲歩しない(できない)
- 部分対立 → お互いの意見の共通要素に関しては譲歩する
譲歩の対象と使い方
譲歩する対象としては、対立する意見に対するものと、一般論として述べられる意見に対するものがあります。
それぞれ、「たしかに・なるほど」「もちろん・むろん」などの言葉を用いて、譲歩する姿勢を示します。
「たしかに・なるほど」 → 対立意見に対する譲歩
例)
たしかに、ITの進化によって、いつでもどこでも、誰とでもコミュニケーションを取ることができる便利な世の中になったというあなたの意見には一理ある。しかし私は、それによって本質的なコミュニケーションの機会が奪われているのではないかと思っている。
「もちろん・むろん」 → 一般論に対する譲歩
例)
もちろん、ITの進化によってコミュニケーションを取ることは、従来と比較して簡単になったといえよう。しかし、それによって本質的なコミュニケーションの機会が奪われているのではないか。
譲歩の利点
反対意見への理解を示す譲歩から論を展開することで、意見を受け入れてもらう(少なくとも耳を傾けてもらう)下地を作ることができます。
例)
もちろん、ITの進化によってコミュニケーションを取ることは、従来と比較して簡単になったといえよう。しかし、それによって本質的なコミュニケーションの機会が奪われているのではないか。
私たちは、失われた本質的なコミュニケーションを、これからどのように取り戻すのかを考えていきたい(論点)。
譲歩を用いながら、自身の主張を効果的に表現していきましょう。
阿部 道浩
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