語彙はなぜ必要なのか
語彙は、デジタルカメラでいえば画素数のようなものであると金田一秀穂先生は述べています。(日経ビジネスアソシエの記事より)
自分の思ったこと、感じたこと、眼で見たことを言葉で伝えるということをライターは行います。その際、より精緻に伝える、よりありのままを相手に伝えるというためには、最適な言葉を選べるラインナップが多いに越したことはないですよね。100万画素よりも200万画素、200万画素よりも1,000万画素の方が情景をより精細に見せるデジタルカメラと同じく、語彙が多いことで伝えられる思いや情景の質は変わってきます。
また、語彙を増やすことは表現力のみならず、思考力にも大きく影響します。私たちが頭の中で思考するときにも言葉を使うもの。その言葉の総量が多いということは、頭で把握している概念の幅が広く、より多様な視点から思考を深められるということにつながるからです。
語彙の増やし方
語彙を増やす方法としては、皆さんもある程度予想できるかと思うのですが、分からない言葉が出てきたら国語辞典で調べるということしかないと思います。私の場合、子どもの頃から息をするような感覚で国語辞典を引いていました。
今の時代であれば、国語辞典はウェブ上に公開されているので、「◯◯ 意味」「◯◯とは」などと検索すれば分からない言葉の意味はすぐに分かります。私も紙の辞書を引くことは無くなりましたが、分からない言葉は瞬時に調べるようにしています。ウェブであれば「載っていない」ということはまずないので、安心して調べることができます。
iPhoneには辞書が内蔵されている
ご存知の方も多いと思いますが、iPhoneには辞書機能が内蔵されています。Safariなどで記事を読んでいる時、分からない単語が出てきたら、その単語を選択します。「辞書」を選択すると、その言葉の意味を調べることができます。元から備わっている機能なので、新たに何か買い足す必要もありません。
手軽に辞書を引けるので、今まで辞書を引く習慣がなかった人でも楽しく語彙を高められるのではないでしょうか。
読者に合わせて語彙を選ぶ
語彙が増えた時に注意したいのが、「むやみやたらに難解な語を使わない」ということです。
ライターは、読み手の語彙に合わせて言葉を選び、文章を書くことが仕事です。自分や仲間内、またある程度の知識や教養がある人だけが知っている言葉をあえて使い、「自分はこんなことも知っている」ということをひけらかすことほど格好悪いことはありません。
「この文章はどのような人が読むのだろう」「この言葉だと伝わらないから、この言葉で置き換えておこう・説明を入れておこう」という配慮が必要になります。「言葉を選べる」というのは、十分な語彙が身についてからの話となります。逆説的ですが、あらゆる人に分かりやすく平易に伝わる文章を書くためには、一般的なものから難解なものまで幅広く語彙を習得しておく必要があるといえるのです。
阿部 道浩
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