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文章を通じて自らの主張を伝える上で、具体例の効果は計り知れません。

ここでは、具体例をなぜ使った方が良いのか、どのように具体例を選んだら良いのか等について解説します。

【具体例の効用1】相手にイメージさせることで理解が深まる

皆さんが小学1年生の子どもに足し算を教えようとした時を想像してみて下さい。いきなり「1+2=3です。」というような数式で教えるようなことはしないのではないでしょうか。「八百屋さんで、りんごを1個、バナナを2個買いました。さて、合わせて何個になるかな?」というように、具体的な場面を想像させながら、時に絵などを用いて教えることと思います。

それは、小学1年生の子どもには、まだ「足し算」という概念が存在しないことが分かっているから。そこで、りんごが1個やバナナが2個という、小学1年生でも容易にイメージできる具体例を用いて説明するのです。

具体例を文中に入れるというのは、相手の想像しがたい概念や誤解を招きかねない概念について説明しようとする時に、相手の理解してもらえる事象を使って説明するということです。

(例)

どんなに辛くても、目標を達成することで、それまでの辛さがすべて吹っ飛んでしまう主張)。

例えば、大学受験で1日15時間の勉強を毎日続け、時に途中で挫折しそうなくらい辛くても、志望校に受かったら辛かったそれまでの日々を忘れてしまうくらいに嬉しいものだ具体例)。

当然ながら、具体例を記述する上では読み手の理解できる例を挙げることが必要です。「東京ドーム5個分の広さ」と伝えても、東京ドームに行ったことの無い人にとってみれば意味のない例えとなってしまいます。読者像をイメージし、その読者なら大半が知っていると思われる例えを用いるよう心がけて下さい。

 

【具体例の効用2】曖昧だった箇所をクリアにする

具体例を挙げるというのは、文中の曖昧な箇所を減らすという意味でも有効です。算数を教える例でいえば、「1+2=3」というのを「りんごを1個、バナナを2個」と伝えることで、「1」や「2」というだけでは(小学1年生にとって)やや曖昧だった概念をより強固に説明することができます。更に、絵を描いて説明すれば誤解を受ける可能性はぐっと減らせることでしょう。

具体例を用いるばかりでなく、文章を出来る限り具体的に書くというのは、何も主張をする文章にだけ有効なものではありません。メールやチャットでやり取りをする際にも、自分の意図を正しく伝えられる点で有用だといえます。

(例)「今度の会議は、明日の4時から大会議室で行います。」→「今度の会議は、明日(5/9(金))午後4時から、16階の1602大会議室で行います。」

・「明日」という言葉は、相手の見ている時間帯や日にちによって指し示す日にちが変わってきます。具体的な日付を記入した方が良いでしょう。

・「4時」というのも午前と午後があります。さすがに会議を午前4時からやるというのも常識的に見れば考えづらいので、ここでは「4時」とだけ記載しておいても伝わるでしょうが、より誤解する余地を与えないのであれば午前と午後の別は記載しておいた方が無難です。

・「大会議室」だけでは、人によって思い描く場所が違うかもしれません。階数や部屋番号が決まっているなら、それを添えて記載した方がより正確に伝えられます。

上記の点は「具体例」というテーマからはやや外れましたが、具体性を上げて相手の誤解を最小限に抑えるという点では同じです。

 

まとめ

自分の主張したいことが未だ世に認知されていないものの場合は、卑近な例を用いて相手にイメージしてもらうことで説得力が増します。また、具体例を用いたり文中の用語をより具体性を上げて記述することで、誤解を受ける可能性をぐっと減らすことができます。

図表などを用いることもあるかもしれませんが、基本的には文章だけで自らの主張を伝えるのがライターという仕事。そうであるからこそ、言葉で具体例をうまく伝えながら相手の理解を手助けしたいものです。

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阿部 道浩

株式会社YOSCA取締役。1987年新潟県生まれ、2011年慶應義塾大学卒業。 大学在学中から、当時社員2名のモバイルサイト運営会社Berryにてインターンに参加。iPhoneアプリ開発からECサイト店長業務まで幅広くネットビジネスに関わる。大学卒業とともにBerryに正社員として入社、Webコンテンツの制作を担った。 2013年、宮嵜とともに株式会社YOSCAを立ち上げ、在宅で業務に当たる。趣味はランニング。