「会社勤めが合わないからライターになった」 橘夢人さんが語るフリーライターの利点と独立の仕方

会社に勤めながら、当たり前のように人と関わり、決められた仕事をする。そんな社会の当たり前に馴染めず、息苦しさを感じている人もいるのではないでしょうか。

そうした違和感を原動力に変え、ライターとして独立した橘夢人さん。会社勤めを辞め、ライターとして個人で仕事をするにはどうしたら良いのかを教えてもらいました!

【ライター橘夢人】
プロフィール:神戸大学文学部卒業。大学卒業後、東京入国管理局に就職。2006年に退職し、都内の日本語学校に勤務。その後、法律事務所、新聞社、公益社団法人などで働き、編集プロダクションでの勤務を経て、2014年8月にフリーライターとして独立。中国・西安に1年間留学をしていた経験がある。

独立志向が強い人にとって始めやすいライターという仕事

―ライターになる前には、どんな仕事をされていたのでしょうか。

私は大学生の時から、卒業後に社会に出ている自分が想像できませんでした。でも、卒業したら社会に出なきゃいけないと分かっていたので、中国に留学していた経験を生かして、入国管理局に就職したんです。ただ、就職して数ヵ月で自分にはやっぱり合っていないと思い、転職を決めました。

―橘さんは様々な仕事の経験がありますが、転職先で学んだことを教えてください。

転職先の中でも、多くを学んだのは公益社団法人で機関紙を編集する仕事に携わったことです。元新聞記者だった編集長について取材に同行させてもらったり、原稿を見てもらう中で、取材の仕方や記事の書き方を学びました。その後、編集プロダクションへ転職をし、半年後にフリーライターとして独立しました。

―フリーライターとして独立することを決めた理由はありますか?

やっぱり会社に勤めるのは自分には合わないと思ったからです。個人でできる仕事がしたいと思って、行政書士としての独立も考えましたが、事務所を設立するのに初期費用がかかるんですよね。それに比べて、ライターは初期費用がかからないし、これまでの経験を生かして、やりがいのある仕事ができると思って、フリーライターになることを決めました。

独立するにはできるかできないかよりも、やるかやらないかが大事

―フリーライターとして独立に至るまでのエピソードを聞かせてください。

ライターになるために事前に準備していたわけではありません。「もう会社勤めは嫌だ!」という気持ちが先行して、独立しました。初めは7万円くらいの月収にしかならなかったので、派遣で夜勤帯に事務仕事をしていました。独立して4ヶ月くらいで、ライターの仕事だけで生活していけるくらいになりました。

―最初はどのように仕事を獲得されていましたか?

Webでライターを募集している会社を探して応募しました。自分のやりたい仕事だけを選んでいては生活していけないと思ったので、ジャンルを絞らずに探しました。ただ、単価の低すぎる仕事はやらないようにしました。あくまで、仕事として成立させることが大事だと思ったので。

―橘さんはWeb媒体だけではなく、紙媒体のお仕事もされていますよね?

はい。現在契約中の紙媒体のうち、一つはWebで募集されていたものです。そこに応募したのをきっかけに、紙媒体でもお仕事をいただけるようになりました。もう一つ、日本と中国の文化を発信する季刊誌にも参加させてもらっていますが、こちらは友人に誘われて行ったイベントで出会った編集社の方からのご縁で、お仕事に繋がりました。

―ライターだけで生計を立てるために、どのようにお仕事を増やしていきましたか?

自分で営業をかけたのは、独立したてにWebで仕事を探していた時だけです。あとは、いい記事を作る努力をして、次も頼もうと思ってもらえるような仕事をするように意識しました。そうすることで、少しずつ編集者さんの紹介で仕事が増えていきました。

最初からやりたいことだけに絞らない。まずはやってみることが得意分野を見つける秘訣

―インタビュー記事が得意ということですが、どのようなきっかけで得意になったのですか?

最初にお仕事をしたのが医療系のインタビュー記事で、やっていくうちに上達はしたかなと思います。自分のやりたいことだけをお仕事にできるのが一番ですが、やってみなければやりたいことなのかどうか分からない部分もあります。

続けてみて嫌いじゃなければ、仕事としてはやっていけるんじゃないかなと感じるんです。その中で、やりたいと思えることを作っていくしかないと思っています。

―インタビューを得意分野とするために意識していることを教えてください。

インタビューに行く前に準備をする時間を大切にしています。インタビュー相手について調べたり、質問事項を考えたりしておくことで、聞く姿勢を整えることができます。

インタビューの場では、インタビュー相手に気持ちよく話してもらうことを意識していますね。インタビューされるのに慣れっこの人もいますが、初めてのインタビューで緊張している人もいらっしゃるので、リラックスしてもらえるような話題を用意したり。いいお話を引き出せるように質問内容を考えています。取材は、事前準備で決まると思っています。

ライター業の魅力とこれから実現させたいこと

―ライターという仕事の魅力を教えてください。

会社勤めをしていたら会えないような人に会えることです。人の人生についてじっくり話を聞けるのはライターの魅力かなと。それに加えて、自分が書いたものを世の中に出すことができて、誰かに必要とされるものであるということは、やりがいだと感じます。

―これからライターとしてやりたいと思っていることはありますか?

今後やっていきたいことは2つあります。1つは、地方の魅力を伝えることのできるコンテンツを作ることです。香川県の地元に帰るたびに、人やお店が減っていくのを感じて、地域の魅力や存在を知ってもらう記事作成をしていきたいと考えるようになりました。それを見た人が、そこに行ってみたいと思ってくれて、地方が少しでも明るくなればいいなと。

―最近は地域復興も話題になっていますよね。もう1つのやりたいこととは何でしょうか?

13歳から25歳くらいの人に向けた、働く大人のインタビュー本を出したいと思っています。私自身が子どもの時にこういう大人になりたいという明確なモデルがいなかったので、若い人の目標になれるような大人の生き方を本にして紹介したいんです。

大人になれば就職し、毎日会社に通って働くのが「普通」だとされていますが、例えば体の性別と心の性別にズレを感じていたり、生まれつき汗をかけないため夏場の行動が制限されたりなど、様々な理由でそんな「普通」の働き方・生き方が描きづらい人もいます。

これからどうやって自立したら良いか分からず、悩んでいる人に向けても、こんな生き方もあると提示できるようなものを作りたいと思うんです。まずは、今まで出会った魅力的だなと感じる人から、どんどん形にしていきたいですね。

ライターにオススメしたい書籍

『〆切本』夏目漱石、江戸川乱歩など全90人
夏目漱石から村上春樹まで、明治~現代の作家・漫画家・編集者90人が「〆切」をテーマに書いた話を集めた本です。各著者ごとの個性が溢れていて、読んでいて面白いです。「〆切」というフレーズを通して、偉大なる先人たちと感覚を共有できる楽しさがあります。締め切りに追われている時に励まされる本です。