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プロライターの皆さんにインタビューし、どんな信念をもって仕事をしているのか、これまでにどんな経験をし、その中でどんなスキルを培ってきたのかを伺う「【プロライターにインタビュー】シリーズ。
記念すべき第1回目は、漫画家兼ライターとして活躍する小泉ちはるさんに登場していただきました。

企業人から政治家まで、さまざまなインタビュイーに話を聞き、その活動や想いを発信してきた小泉さん。「人に会うこと」にこだわる彼女の仕事ぶりに迫ります。

【ライター兼漫画家 小泉ちはる】
プロフィール:出版社での勤務を経て、2015年よりフリーライター兼漫画家として活動を開始。『週刊SPA!』や、ウートピ、cakes、アニメイトタイムズなどのwebメディアを中心に取材記事や書評を執筆。漫画家としては「田丸こーじ」というペンネームで4コマ漫画を描いている。

 

ライターと漫画家を兼業する働き方

――ライターとして活躍する一方、漫画家としての顔も併せ持つ小泉さん。「現在のお仕事」について、詳しく教えてください。

「ウートピ」「ハーバー・ビジネス・オンライン」「cakes」「アニメイトタイムズ」などで、社会問題や女性キャリア、サブカルといったジャンルの記事を中心に執筆しています。記事の形態として特に多いのは、インタビュー記事ですね。

インタビューは最もやりたい仕事の1つなので、積極的に取り組んでいます。その他、書評の執筆も数多く経験してきましたし、最近ではインタビュー記事の定期連載もスタートしました。

また、ライター業と漫画家業の割合は……6:4くらいの比率でしょうか? とはいっても、平均して週に2〜3本はインタビュー記事を書いていますし、多いときは1日に3〜4人と会うこともあります。

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心の内を引き出し、素敵な考えを世に発信することがライターの役割

――インタビューのお仕事がメインとのことですが、インタビュイーはどんな方が多いのでしょうか?

自身の強みといえるジャンルが経済やキャリアということもあり、これまでは企業人にお話を伺うことが多かったです。最近ではそれに加えて、大学教授や市長にインタビューする機会も増えました。かなり専門的な話も出てくるので、そういった方々にお会いする前は、いつもに増して事前のリサーチを徹底しています。著書があればしっかり読み込むなどして、集められる情報はすべて頭に叩き込んでおくよう努めていますね。

丁寧な仕事を心がけてもっとスキルを磨き、ゆくゆくは「難攻不落な人へのインタビューは小泉さんに任せよう」と言ってもらえるライターになりたいです。

――インタビューのお仕事では、どんなときにやりがいや楽しみを感じますか?

「インタビュイー本人も気づいていないこと」を引き出せたときは、とても大きなやりがいを感じます。私の質問に答えていく過程で、インタビュイーの中で新たな気づきがあったり、考えがまとまったりという瞬間があると、ライターとして達成感があります。

私、世の中には「素敵なアイデアを持っている方」がたくさんいると常々思っていて。でも、口下手だったり、自ら情報を発信する術を持っていなかったりするために、せっかくのアイデアが埋もれてしまっている……その問題を解決してあげることが、私たちライターの役割だと思っています。

それから、インタビュイーの話をすべて聞けるのも楽しみの1つです。以前、有名な芸能人のお話を伺って記事にした際、世に出ている情報は加工されているということを痛感しました。記事には載せられないオフレコ話があったり、さまざまな事情でカットせざるをえなかったりといった部分が、どうしても出てきますからね。そうした「こぼれ落ちる部分」を自らに取り込めるのは、ライターの役得です。

――ここまでインタビューについて伺ってきましたが、次は執筆について教えてください。「記事を書く=伝える」という工程において、小泉さんの強みといえるスキルはありますか?

一緒に仕事をしている編集者の方から「小泉さんは、異次元の話を身近なことに落とし込むのが得意ですよね」と言われたことがあります。読者にとって馴染みのない話をわかりやすく伝える、ということですね。発言者の意図を損なわずに、読み物として面白く書くことは常に心がけているので、認めていただけたのはとてもうれしかったです。

また、元編集者ということもあり、記事の内容を「編集者の見せたい形」に寄せることも得意であると自負しています。

「主体的に発信したい!」編集者からライターへと転身

――以前は編集者をされていたんですね。具体的には、どんなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

学生時代から「面白いものを発信したい!」という思いを持っていて、大学を卒業してすぐに出版社に入社しました。そのまま3年ほど勤め、1年目は主に書店営業を、2年目からはビジネス書の編集と広報を担当していましたね。

その他にも、販促物の作成や新レーベルの立ち上げプロジェクトにも関わるなど、幅広く経験させてもらって。編集者目線やインタビューに活きるコミュニケーション力を、この時期に手に入れました。自分らしい仕事のやり方を確立できた大切な期間だったと思っています。

――なぜ編集者からライターに転向されたんですか? また、具体的にどのようにしてライターとしての活動を始められましたか?

働く中でだんだんと、「面白いものを発信したい」という気持ちが「主体的に面白いものを発信したい」に変わっていったんです。自分でクリエイトすることにチャレンジしてみたくなりました。ちょうどその頃夫の転勤もあり、「今だ!」と決心しました。

ライター活動は、クラウドソーシング系のサイトなどで仕事を探すことからスタートしました。その過程で「フリーライターのよりどころ」に登録し、株式会社YOSCA(ヨスカ)と出会ったのもこの頃ですね。ビジネス関連のライフハック系の記事や書評の相談をもらって書くなど実績を積んでいったら、人づてに雑誌やwebメディアの編集者を紹介してもらって、『週刊SPA!』などでも取材記事を執筆するようになりました。

――そうなんですね。小泉さんにとってYOSCAとはどんな存在でしょうか?

YOSCAさんからは、企業ホームページに掲載するインタビュー記事などをメインに依頼をもらっていますが、これは私にとってターニングポイントともいうべき仕事でした。というのも、一般企業に勤めていらっしゃる会社員は、当然インタビュー慣れしていないですよね。そんな方々からお話を引き出すというのはとても難しいんですが、でもその分、うまくいったときのやりがいも大きいんです。YOSCAさんは、私にインタビューの魅力に気づくきっかけをくれた会社です。

それから、編集者の方々がとても親切! 仕事が丁寧で、レスも早い。見習いたいと思っています(笑)。

――では最後に、小泉さんの今後の目標について教えてください。

漫画家としても活動している強みを活かし、インタビューをして、レポート記事+漫画でまとめるという仕事をやってみたいです。インタビューで得た素材を、文章と漫画の両方を使ってよりわかりやすく、面白く発信したいと考えています。

また、ジャンルとしては「地方再生」に興味を持っています。これだけ地方再生の重要性が叫ばれているにもかかわらず、現状ではうまくいっている例にしか目を向けられていません。日本には数多くの自治体があって、再生に向けて取り組んでいるところももっとあるはずなのに……まだ日の目を見ていない自治体の話も拾っていきたいですね。冒頭で少しお話しした新しくスタートする定期連載は、実は地方再生をテーマにしたインタビュー記事なので、力を入れて取り組んでいくつもりです。

主な活動実績

<ライティング>

『週刊SPA!』(扶桑社)

「ウートピ」http://wotopi.jp

「アニメイトタイムズ」http://www.animatetimes.com

「cakes」https://cakes.mu

「ハーバー・ビジネス・オンライン」http://hbol.jp

「女子SPA!」http://joshi-spa.jp

「西日本新聞web 読書案内」http://www.nishinippon.co.jp/nlp/reading_guide/

<漫画・イラスト>

『本当にあった愉快な話』(竹書房)

『本当にあったまる生ここだけの話』(芳文社)

『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)

「人生のおどり場ダンサーの『もやもや』日記」(ウートピ)http://wotopi.jp/archives/36461

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中島香菜

神奈川県出身。早稲田大学教育学部卒業。営業職や事務職などを経験し、かねてより関心のあったライターに転身。企業専属のライターとして歯科求人広告などのライティングを1年ほど経験したのちに、フリーランスライターとなる。取材や編集にも対応可能。強みである歯科を中心に、ジャンルを問わず活動中。 実績紹介ページ